アゼルバイジャンの日本料理店
PROJECT NAME

アゼルバイジャンの日本料理店

JAPANESE RESTAURANT AT AZERBAIJAN

CATEGORY
RESTAURANT
YEAR
2015.06
AREA
アゼルバイジャン共和国
OUTLINE
アゼルバイジャン共和国で進行中の日本料理店のプロジェクト。遠い異国の地で生み出される日本料理のための空間です。日本を感じさせる材料と空間構成でデザインされています。
アゼルバイジャンの日本料理店
これは、ロシア、東欧、中東に囲まれたアゼルバイジャン共和国における、日本料理店のプロジェクトだ。
多くの日本人にとって馴染みの薄い国かもしれないが、アゼルバイジャンの親日家の経営者からの設計依頼とあって、家所亮二は、あえて日本の文化を存分に詰め込んでデザインをした。今や危機に瀕している日本のものづくり文化を、もし日本で残せないのだとしたら、遠く離れたこの場所で残してみようと目論む。
アゼルバイジャンの日本料理店
アゼルバイジャンという国名が「火」を意味する言葉に由来し、首都バクーの都市名が「風が吹きつけた」という意味の言葉に由来することから、それらをデザインモチーフとした。
風にたなびくイメージで造形された外壁は、奄美大島の特産品である絹の織物「大島紬(おおしまつむぎ)」がモチーフになっている。
その曲壁で囲まれた室内には、和紙、竹、焼き杉などによる空間が広がる。それらの自然素材は、外国で日本料理店に求められるステータス感も満たしている。
また、一つの空間からさらにその向こうが見えて「奥」を感じさせる点も、日本的と言える。
ブーメラン型のカウンターは、桜の木を囲むように配置されている。また、曲壁で囲まれた各部屋には、日本で製作した二畳結界のようなユニットを設置する予定だ。
訪れた客たちは、日本の路地や回遊庭園を散策するかのごとく、めくるめく和の世界を堪能するだろう。「料理は器で食わせる」と言うが、この日本料理店はまさに、空間自体が日本食を楽しむための巨大な器となっているのである。
text by salta