コロネ
PROJECT NAME

コロネ

CORONE

CATEGORY
HOUSE
YEAR
2012.11
AREA
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OUTLINE
住宅メーカーとともに企画した、セミオーダーメイドの住宅システムです。画一的な空間ではなく、自由で楽しい住まいづくりを望むお施主さんのために考えられた新しい住宅です。「コロネ」という名前は、空間の形から名付けられています。
コロネ
「コロネ」は、住宅メーカーのFPコーポレーションと共同開発した企画住宅のプロジェクトである。
一番のポイントは、誰が施主になるのか分からない状況の中で、何を判断基準にしてこの住宅システムを設計していったのかということだ。結論から言えば、それは「楽しさと自由度」である。
コロネ
コロネ
コロネ
コロネ
名称から察せられるとおり、このプロジェクト名は菓子パンのコロネに由来する。空間構成の最大の特徴が螺線形だからだ。
「コロネ」プロジェクトは、「ソト(外)コロ」「ウチ(内)コロ」という二つの住宅モデルで構成されている。
「ソトコロ」は、外側に螺旋状の階段を持つ。住人は、部屋と階段を交互に体験しながら上階へと上がっていく。部屋は単なる部屋ではなく巨大な踊り場である。
一方、「ウチコロ」は、中央に階段室があり、それを取り囲むようにして半フロアずつずれた床が設置されている。こちらは、「ソトコロ」に比べて、「部屋」性が重視されており、住まい方の変化に応じて、部屋同士のつながり方を臨機応変に変えることもできる。

「ソトコロ」「ウチコロ」の両タイプに共通するのは、「空間の連続性」だ。従来の住宅では、1階と2階がはっきりと分かれてしまうが、コロネでは、螺線形状によって各空間が立体的に連続している。
では、どんな空間が「連続」していくのか。それは、「お気に入りの空間」だ。
一般的に、住宅を建てる場合、人は何から発想するだろうか。「LDKがあって、子ども部屋があって」というように形式から考えるのではないだろうか。しかし、コロネというプラットフォームを前にして考えると、人はおそらく、「カフェとライブラリーが合体したような空間」「料理と食事が楽しめる明るいスペースにテラスが面している」といったようにお気に入りのシーンから思い描いていくのではないだろうか。そんなお気に入りの生活シーンが螺旋状に連続していくのが、このコロネである。ガレージとリビングが隣り合って、自動車を感じながら暮らせる家でもよい。ペットやSOHOのためのスペースもつくりやすいだろう。
言わばコロネは、パソコンで言えばOS。そこに各自が好きなソフトやアプリケーションを組み込んで思う存分楽しめばよい。コロネは、住空間における「楽しさと自由度」を最優先してつくられた住宅の新しいモデルなのである。
なお、こうした「既存のnLDKの枠組みにとらわれず、遊び心のある空間を連続させ、施主の個性を反映する」といった設計アプローチは、家所の多くの住宅建築にも共通している。
text by salta