柏のシェアハウス
PROJECT NAME

柏のシェアハウス

SHARE HOUSE AT KASHIWA

CATEGORY
HOUSE
YEAR
2009.01
AREA
千葉県柏市
OUTLINE
ちょっと変わった住宅プロジェクトです。
見知らぬ二組の家族が、一つの家に住むことになるかもしれません。そんな意外な使われ方をするこの住宅は、階段部分にポイントがあります。
柏のシェアハウス
これは、非常に特殊な構成でつくられた住宅である。
一つの建物の中に、2セットの住空間がおさめられている。玄関は二つある。つまり、二組の家族が住むことができる。いわゆる二世帯住宅と呼んでよい。
ただし、特異なのは、二つの住空間が階段室でのみ繋がっており、互いに行き来できないという点だ。階段を挟んで視線は互いに抜ける。空気や音も行き来する。けれど、階段に阻まれて人間は行き来することができない。猫なら行き来できそうだ。
不思議な距離感である。
住人は、「もう一方の住空間」に住む隣人の様子を明らかに感じられるのに、その空間へ行くことはできない。パラレルワールドである。階段室に埋め込まれたライン状の照明が、パラレルワールドらしい非日常感を演出している。
柏のシェアハウス
柏のシェアハウス
柏のシェアハウス
柏のシェアハウス
では、どんな住まい方が可能だろうか。
例えば、親世帯と子世帯で住むにはよいだろう。仲の良い2組の家族が住んでもよい。片方を男子用シェアハウス、もう一方を女子用シェアハウスにしてもよさそうだ。
けれど、もう一歩イメージを進めて、まったく見知らぬ二組の家族が住んだらどうかと考えてみたい。その生活像を、うまく想像できない。人によっては、「無理だ」と感じるかもしれない。なぜなら、このような関係性を持つ住空間を私たちはほとんど見たことがないからだ。
だからこそ、見たことのない関係性を持つ二組の家族が、生まれるかもしれない。見たことのない人間関係が育まれるかもしれない。
「この空間で何が起こるのか明確には予想できないが、きっとそこに住まう家族にとってポジティブな何かが起こる」。そのような性格を持つ空間が、家所亮二の住宅建築の最大の特徴であり、魅力である。
一見すると、とても珍しい構成に見えるこの「柏のシェアハウス」だが、考えてみると、数十年前まで私たちは垣根越しに隣人と毎日会話を交わしていたのであり、大きな家に他人を下宿させていたのだ。ならばこの住宅だって、必ずしも突飛な構成とは言えないはずだ。
柏のシェアハウス
text by salta