また、店内中央に鎮座する曲線を描くベイマツ材カウンターはこの店の要である。直線のカウンターとは異なり、柔らかな曲線が店内にリラックス感を生み出している。カーブが凸状になる部分を2、3人で囲んで座ってもよいし、凹状の部分に1人で座るのもよい。そんなふうに各自が思い思いの過ごし方をできる自由さもまた、森の魅力の一つと言えるだろう。
なお、あえて周辺の街から隔絶し、店内に街と対極的なイメージの「森」を生み出すこの設計手法は、この店がビルの上階にあり、かつ床面積が比較的小さいがゆえに成立する手法である。もし逆に、ビルの1階で大きな面積を持つ区画であれば、まったく異なる設計アプローチが必要になる。そのことは、似た業態で同じ神田にある「
MOMENT KANDA 南口店」と比較すれば、明快に理解できる。