MOMENT KANDA 西口店
PROJECT NAME

MOMENT KANDA 西口店

MOMENT KANDA WEST

CATEGORY
BAR
YEAR
2014.06
AREA
東京都千代田区
OUTLINE
ウイスキー「白州」を楽しむためのバーです。
エレベーターを降りてドアを開ければ、そこは都会の騒がしさから切り離された「森」のような空間です。ウイスキーも空間もじっくり堪能してください。
MOMENT KANDA 西口店
「MOMENT KANDA 西口店」は、神田駅からほど近い雑居ビルの7階にある。サントリーのウイスキー「白州」をメインメニューとするボトルバーだ。
MOMENT KANDA 西口店
MOMENT KANDA 西口店
店舗の空間デザインにおいて、伝わりやすさと親しみやすさは大切な要素だが、この店のデザインはまさにそうした要素を持っている。店内に身を置けば、多くの人は「森 」を連想するだろう。
「白州」のブランドイメージが「森の蒸留所でつくられたウイスキー」であり、テーマカラーがグリーンであるから、空間デザインがメインメニューのイメージと直結しているわけだ。さらに、ビジネスマンが闊歩する神田という街の喧騒に、この店は一服の清涼剤のように「森」を提供している。
では、「森」というデザインモチーフを具体的にどのように空間デザインに変換したのだろうか。
森のイメージは一般的に「木々が林立している」「遠くに緑が見える」「目の前の樹木を手で触れることができる」「直線がない」などだろう。そうした森のエッセンスがここでは、窓の外の緑(12種類のモミジ)、林立するスチール無垢材の 丸棒、天井のワイヤーに這うツタやエアプランツ といった要素によって空間デザインへと変換されている。
スチール丸棒 に設置された白州のボトルは、木の葉のようでユーモラスだ。
使われている すべての素材は、経年変化していく素材である。その変化こそが、この店舗を森のような自然環境に近いものにしている。
MOMENT KANDA 西口店
また、店内中央に鎮座する曲線を描くベイマツ材カウンターはこの店の要である。直線のカウンターとは異なり、柔らかな曲線が店内にリラックス感を生み出している。カーブが凸状になる部分を2、3人で囲んで座ってもよいし、凹状の部分に1人で座るのもよい。そんなふうに各自が思い思いの過ごし方をできる自由さもまた、森の魅力の一つと言えるだろう。
なお、あえて周辺の街から隔絶し、店内に街と対極的なイメージの「森」を生み出すこの設計手法は、この店がビルの上階にあり、かつ床面積が比較的小さいがゆえに成立する手法である。もし逆に、ビルの1階で大きな面積を持つ区画であれば、まったく異なる設計アプローチが必要になる。そのことは、似た業態で同じ神田にある「MOMENT KANDA 南口店」と比較すれば、明快に理解できる。
MOMENT KANDA 西口店
text by salta