ゆっくりと時を刻む水時計
ゆっくりと時を刻む水時計

ゆっくりと
時を刻む水時計

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LIGHTING
バーの壁面に設置された「時を刻む照明」。
グラスに定期的に落ちる水滴が波紋をつくり、蛇口に仕込まれたライトとグラス底面のミラーが、波紋の影を壁と天井に映し出す。なんとも幻想的。
ここはウイスキーを楽しむお店。美味しいウイスキーは、長年の経験と技術の蓄積によって生み出される。だからお客さんには、「時間」に意識を向けてもらいたい。そのためにも時間を可視化したい。そう考えて設計されたお店だ。
ところが一方、このお店は、「都市や日常から切り離された特別な時間の提供」を目指しているから、安易に時計なんて置いたら、お客さんの気持ちはあっという間に日常の時間に引き戻されてしまう。
では、どうするか。そこで発案されたのが、照明オブジェ。単なる照明器具でもなく時計でもない。水と光が一体となって、ゆっくりと時を刻む。水滴は定期的に落ちるけれど、水の量や落ちる位置が若干異なるため、一度として同じ波紋は現れないだろう。
時計のように時刻が分かるわけではないけれど、見る人の意識は、ゆっくりと「時間」へ向けられていく。まるで、砂時計ならぬ、「水時計」だ。
text by salta