J 病院
PROJECT NAME

J 病院

J Hospital

CATEGORY
OTHERS
YEAR
2016
AREA
千葉県
OUTLINE
千葉県で計画中のプロジェクトです。足の治療に特化した専門性の高い病院で、延べ床面積が約3000㎡。リハビリ、手術、入院など、様々な治療段階の患者さんが使用します。クライアントである医院長は「足の治療で世界一」を目指しています。
J 病院
家所亮二は設計に際して、「病院は、環境、サービス、技術のバランスが重要。それらを利用者に伝わる形で空間化しよう」と考えた。
日本語の「自然」という言葉には、いくつもの意味合いが込められている。この病院建築の特徴は、少なくとも三つの観点から「自然」が埋め込まれていることだ。
一つ目の「自然」は、自然の風景のような造形。治療技術で世界一を目指すなら、それに見合った強い発信力を持つ造形が必要だろう。そう考えて、エネルギーと生命力を感じさせる大地のような有機的な建築形態を構想した。そこには家所の「地層のように歴史を刻んでいってほしい」との思いも込められている。
二つ目の「自然」は、自然に生まれるコミュニケーションだ。おそらく誰もが病院で、「まったく生き生きと使われていない、談話室と名のついた部屋」を見たことがあるだろう。談話室という単一の目的を与えられた部屋で談話はほとんど生まれない。
そこで、この医院では、法的に必要な廊下の幅を更に拡張し、イスやテーブルを配して、談話室の機能を持たせた。そしてその空間を活かすべく、動線にも工夫を加えた。患者が病室から見えた庭の緑を見に外へ出ようとすると、その空間を通る動線計画となっている。そこには、“先輩患者”が座っているかもしれないし、同じ病気を抱えた仲間がいるかもしれない。「どうですか、調子は?」「お互い大変だね」などと、ホッとする一言が口をついて出てきそうだ。
この「談話室」は、「談話しよう」と思った人だけが行く目的地ではなく、気がついたら談話していたという空間だ。このように、気持ちや境遇を自然にシェアできる環境が、怪我や病気の回復を少しでも早めてくれるのではないか。
三つ目の「自然」は、自然素材だ。空間の随所に、石や木材などの自然素材が使われる。屋外にいるようなリラックスした感覚を重視したためだ。患者が気持良く過ごせることはもちろん、そこで働くスタッフだって、清々しい気持ちで働けるだろう。
こうした自然環境のような室内空間は、家所がいま、設計する業種業態を超えて追求しているものだ。「人間は元来、自然のサイクルの中で生きてきた。ならば、人間が気持ち良く過ごせるのは、どんな環境だろうか」。そんな根源的な問題意識を拠り所として、いま設計を進めている。
このように発想して提案された病院建築は、いままで多くの病院を見て家所が感じてきた「不自然さ」への解答となっている。
医療において、技術の良し悪しが重要なのは当然だが、それ以上に患者対応、動線計画、居心地の良さなどの側面が患者にとって大きな影響を与える。入院するなら快適な環境の方が良い。だだでさえ病気や怪我でネガティブな精神状態になっているのに、それに拍車をかける病院然とした環境で良いはずがない。気持ち良い環境ならお見舞いだってしやすいはずだ。
そんないくつもの疑問にここで答えを提示した。
J 病院
text by salta