小学校でのプロジェクトピースハウス
PROJECT NAME

小学校でのプロジェクト
ピースハウス

PIECE HOUSE

CATEGORY
ART
YEAR
2012.12
AREA
神奈川県鎌倉市
OUTLINE
小学校で開催された、子どもとつくる空間プロジェクトです。みんなでつくった「家」は、初めての建築体験として、みんなの記憶にずっと残るでしょう。建築教育は、人間教育と言えるかもしれません。
小学校でのプロジェクトピースハウス
「ピースハウス」は、鎌倉小学校(神奈川県)で開催されたアートイベントへの出展作品である。
子どもの頃の空間体験はおそらく、大人になってからの空間に対するイメージを大きく左右する。だからこそ、子どもの頃にどのような形で建築や空間に触れたかは、とても重要なことなのだ。
小学校でのプロジェクトピースハウス
小学校でのプロジェクトピースハウス
小学校でのプロジェクトピースハウス
L字型の木製ピース約500個を用意し、子どもたちに好きな絵や文字を描かせた。一つずつの大きさは、レンガブロック程度だ。それを積み上げて「家」をつくった。その多孔質な壁面は、昼間は、賑やかに子どもたちの個性を映し出し、夜には、内部から光が溢れ出す詩的なオブジェとなる。
子どもたちはこの“建築”を見て、まず、小さなピースからは想像もできなかった大きな構築物が生み出されたことに驚き、興奮するだろう。そして、「自分のピースはどこにあるのか」と探して見つけ出す。どんなに思い切った絵や色を描いても、自分のピースは500分の一の小さな存在に過ぎない。しかも、自分だけでなく誰のピースも等しく500分の一の小さな存在に過ぎないと気づくだろう。けれど、その小さな存在が集まって、確かに大きな構築物をつくり出している。一人ではできないことが、みんなでなら成し遂げられる。そしてもう一度改めてそれぞれのピースをじっくり見れば、一つとして同じものはなく、500個すべてが個性的である。このような構築物の在り方は、紛れもなく現実社会の縮図である。子供たちがこれから出ていく社会という場所は、このように小さな個人の膨大な集積として出来ている。
子どもたちは、ここで建築の可能性を感じることができると同時に、仲間と社会をつくっていくために必要な喜びと謙虚さも学ぶことができるだろう。それゆえにピースハウスは、「PIECE」の組み合わせであると同時に、どこか「PEACE」を感じさせる。また、こうして建築という分野に触れることは、子供たちの将来において、仕事観の選択肢が広がることにもつながるだろう。

このようなアート作品は、建築家にとっては珍しいプロジェクトであるが、このようなプロジェクトであれ、従来の住宅設計であれ、家所亮二の基本的な理念は、「建築や空間というものは、そこに関わる人々の人間関係を改善したりサポートしたりするための補足的な装置である」という点で一貫している。
小学校でのプロジェクトピースハウス
text by salta