HOUSE  W
PROJECT NAME

HOUSE W

 

CATEGORY
HOUSE
YEAR
2010.10
AREA
埼玉県さいたま市
OUTLINE
広い敷地に三つの箱が置かれたような住宅です。
いわゆる二世帯住宅。けれど、家の真ん中に、廊下のようでありながら部屋のような、室内でありながら屋外のような、不思議な空間が広がっています。
HOUSE W
施主は、夫婦と子ども2人、そして夫の母親。5人で住む二世帯住宅である。一世帯で住む住宅とは異なる配慮や工夫が求められる。
高齢化が進む時代に、こうした家族構成の施主は増えるだろう。その時、建築家が考えるべき課題の一つは、非常に近しい関係でありながら独立した世帯である「義理の親子」という人間関係を、いかに空間の構成でサポートしていくかということだ。
家所亮二が設計する住宅では常に、施主の家族構成や、その家族に相応しいコミュニケーションの在り方が、平面計画や外観に表現されている。この「HOUSE W」も、そうだ。
HOUSE W
「HOUSE W」では、まず三つの「白い箱」が敷地に配置された。その隙間に、不正形なT字型の余白(=黒い空間)が生まれる。これが、この住宅の基本構成だ。
「白い箱」には、諸機能がおさめられている。
一方、「黒い空間」には、単一の機能が与えられていない。しかも、鉄板や石という屋外を思わせる硬質な素材が使われ、床の仕上げはガラス窓を超えて屋外にまで連続している。
つまり、「白い箱」を三つの建物と見なせば、「黒い空間」は、三つの建物に囲まれた路地のような空間なのだ。
HOUSE W
HOUSE W
HOUSE W
HOUSE W
では、この「黒い空間」はいったい何のためにあるのか。
それは、明確な機能を持ったオフィシャルな“表”の空間(=白い箱)ではできない、曖昧で小さなアンオフィシャルなコミュニケーションをするためにある。
二世帯で暮らせば、単一家族で暮らすよりもずっとコミュニケーションは複雑になる。時には、リビングやダイニングでは話しづらいこともある。そんな時には路地のような曖昧さを持った空間で話したい。親しいがゆえにちょっとケンカしてしまい、距離を取りたい時もある。そんな時には、ゆっくり話せる空間よりも、むしろ通りすがりにちょっと言葉を交わせる空間がほしい。
そんな路地のような曖昧で中間的な空間を生み出すにあたって家所は、日頃から考えていた「廊下は、移動のためだけの細長い空間でよいのか」という疑問に具体的に答える形で、この「黒い空間」を生み出した。
この「黒い空間」は、廊下にしては大きすぎるし不整形だ。だから、もはや廊下ではない。さらにそこに、行為のきっかけとなる仕掛けとして、階段、洗面台、ラウンジチェアなどの日常的な機能を配した。それによって、もはやそこは、廊下ではなく、「何かを誘発する中間領域」になっている。
特に、この「HOUSE W」においては、二世帯住宅で部屋数が多く、必然的に廊下のような移動空間が多くなってしまうため、こうした試みにふさわしいプロジェクトであったと言えるだろう。
HOUSE W
text by salta